建築メタファー
◉向かって右にある部屋の存在
透視しているようにその部屋が見える。
右側に一つの部屋があり、左側に同じような部屋がある間取りの建築。他にも部屋はありそうなのだが、見えるのはそこ。
部屋のある建築の外観は特に意味を持たない。
真ん中に廊下があり『私』が右側の部屋で生活をしている。
決して左側の部屋を使おうとしない。
右側の部屋は物で溢れかえっている。
一つのテーブルで何もかもすまそうとしている。
『私』は左側にもう一部屋あるのを知っている。
溢れ出しそうな右側の部屋で暮らしている。
◉向かって左側にある使われていない部屋の存在
ある時、『私』は薄暗い廊下から左側の部屋に足を踏み入れる。
その部屋の存在は知っていたが、使う気になれなかった。
その理由はわからず。
『誰か』と入ってみたようだった。
左側の部屋には和室があった。
右側の部屋は普通のフローリングの小狭い部屋。
誰かに促されたせいなのか、左側の部屋へと足を踏み入れた。
長年使われていなかったせいか、畳の下は腐敗しかけていた。
なぜ、『私』はこの部屋を無視していたんだろうと思った。
右側の部屋より広く感じられた。
むしろ、右側の部屋と一緒に使えば、もっと快適な生活が送れるのではないかと思える。自分の所有する建築物なのに。
そして、その左側の部屋は奥に行くにつれて高くなっている。
◉建築物が崩壊
何の前触れもなく、それは崩壊していた。
それがあった時には気がつかなかったが、そこに立ってみると、少し小高い丘がありその向こうがなにか知りたくなった。開放感が感じられた。
登っていくと海が見えた。あの建物はこんな海の近くに立っていたのだ。
なぜ、崩壊して、消滅したのかは全くわからず。
天災でも人災でもない。
ただ崩壊していた。
◉ある町の立体的な建築物
そこには何人かの知り合いと親戚など。
幾つかの部屋を持つ立体的な建築物だ。
以前の部屋はなぜか真正面から見た平面図のような薄っぺらな印象だった。
この部屋は起伏に富んで、幾つかの部屋がある。
押入れに蜜柑があったり、使わないモノが置いてあったり。
でも、あまり他の部屋を使用することはなかった。
一つの部屋からあふれるほどのものもなく。
ただ風通しの良い和風の建築物であった。
◉見晴らしの良い高さのある建物
建物の外観は見ていない。その部屋に入ったのは外からの階段とドアだったような気がする。
部屋は居心地の良さそうな洋風の小部屋。窓を開けると海の香りが。
小さな部屋だが人が一人寝泊まりするに丁度いいホテルしたらシングルルームのよう。
快適なベッドがある。
観葉植物や花などが飾られている。
入り口とは別のドアがあるので開けてみる。
そこから、この建物の別な部屋に行き来できるようだ。
階段は螺旋になっていて各部屋のドアがあり、その部屋に入ることができる構造になっている。
しかし、私がこの最上階の部屋に泊まっていることを知っているこの建物の管理者が他の住人、あるいは宿泊客に迷惑をかけぬよう、各ドアの前に観葉植物を置いて入室拒んでいる。
たしかにそうしないとうっかりそのドアを開けてしまいそうになる。
その螺旋階段も一つのインテリアのように普通の居住スペースと変わりない佇まいをしているからだ。
私の他に人を見かけない、かといって誰もいないわけじゃない雰囲気がある。